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Fate@ホロウアタラクシア
槍主従ねたばれ注意@ノットアールエイティーン

小話。
コメントにごー。

コメント

ごとり。
肩から取り外されたそれはそんな音を立てて持ち上げられた。苦痛に強ばるはずの筋は弛緩しダラリと伸びる。切断面はざくざくと。普段の自身にはありえないくらい大雑把に切り落とした。これでも摘出という治療に関しては一流。だが丁寧に一本一本の糸を斬るように筋繊維を切断する処置など必要はない。なぜならもうこの体は動かなくなるからだ。
「ふむ。成程ランサー、それが貴様の宝具か」
もはや血の匂いしかしない室内。埃と交ざる。陰湿な洋館に細い呼吸も聞こえない。ぶらりとつかんだ腕が無造作に揺れた。反対の手にある血に黒黒と

濡れた肉切り用の刃物から鉄錆が滴るのも気にしない様子で彼は膝をついたまま酷く面倒臭そうな顔をしている背後の英雄に構えもしない。否、構えようが無駄なのだ。人の身にあれば人あらざるモノになど及ばない。一ミリ秒と係らず槍の騎士が心臓を貫く。だがそれはしない。行なわれない。『作業』を終えた神父は今だその場に膝を着いている。ハゼットフラガマクレミッツのおとがいの上に肉斬刄を握った手、を、動かしもせずに。
ああ、面倒だ。
レイラインははかなく。一気に消耗したマスターから流れる魔力も微弱。使えるのはせいぜい一度。

「やめておくのだな、この腕は私がもらう」
魔槍を握る手が痛い。そうか、気に入らないか相棒。馬が合うな、俺もだ。その気になれば神父を串刺しにした瞬間白い喉を黒い血で汚す刄が神父の手から擦り抜けてぐさり。
「今より令呪は私がもらいうける、さてランサー。これは提案ではない。譲渡された呪いにより命令権を行使する」
この場において互いに互いの生命を一瞬で断てる、故の硬着。だがちまみれた体が横たわるかぎり肺が息を繰り返すかぎりもう一人の生命が握られていることが場を支配した。
「さて、」
まだ神父は敵だ。まだ、殺せる。

「マスター権の委譲に賛同願おうか、サーバントよ」
そして敵ではなくなった。
細い腕がびくりとはねた。男の手にぶらさがった腕はその一部を発光させ禁止の鎖を編みあげる。
ちぎれば存在の危うくなる戒め。自身の存亡を賭けて迄既に死に体の主人であったもののため新しい主人に逆らうのは馬鹿げていた。今を以てバゼットとの繋がりは彼女の腕にあり今自分を戒めた令呪のみとなる。
死に体の主人を惜しんだ。理由などいい女だったから、それだけ。自分で立ってるつもりでも物理的に自立してるだけ、中身は空かすか、でも。
「くそったれ」



その爪先が欠けたりみじかくつままれた指だと気付いたのは■日目、手袋を外す仕草を目の当たりにして。
女らしくない。
気にするところこそ妙に頼りなく幼い子供のようだった。
肉斬刃が離れていく。神父は神の家に帰り腕の無い死体が残る。
あなたを理想化した私が愚かだったとも。
そうさあんたは愚かだ。アレの本質に恐怖を感じなかったことは人として愚かだし理想なんて手が届かないと知らなかったのも愚か。妥協を学べば安らかに生きられたはずなのに憧れに無心に手を伸ばし続けたこと、伸ばした腕を無くしたこと全部愚かだ。

だが答えなんて決まってた。最初の一投が致命傷であったときから。
またわずかに上下してた喉が見えちまったのだから仕方ない。
「飼い戌が腕を噛まないよう気を付けるこった」
青き槍の騎士の言葉は誰も聴かない。
いつか其の不味そうな腕を食い千切られても文句いうなよマスター?
「…いい女はとおいねぇ」
まったく世知辛い。

だから理想なんて手が届かないものなのだ。
解ったか、バゼットフラガマクレミッツ?




わかれてもーすきなひとー。大好きだ(元)槍主従!

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プロフィール

ゆつき

Author:ゆつき
日々徒然。
何とか生き延びている。
うっかり突発小話ありけり。
何が出てくるか解らない。
おそらく切羽詰った精神状態で出てくる故注意が必要。


おねがいごと。
小話の続きは、コメントのほうに私が書き込んでいますので、小話への直接コメントはご遠慮くださいませ。

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