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愛されなくて良かった。寧ろ憎んでいた。でも愛していた。ただ認めて欲しかった。

以下小話はネタバレ桜でどうぞ。見ちゃ駄目ですよー。(と言いつつ乗せるのはPCから発掘したからなのですが)


Fateプレステ版発表も近くなって参りましたのでもー絶対見ない方向でおねがいします。このゲームのネタばれは麻衣が好きなのはナルじゃなくジーンだった的ショックが。(なんて一部の人にしか優しくない表現だ)でも私的には悪霊の法にはショック受けてなかったり。こういう話の結末もあるのかと。先にコソリを読んでいたせいもあります。

話を元に戻しまして。PC版からPS2への移植です。当初から六十時間越えのデッドヒートを繰り広げるものでしたが、移植に辺り声入りになったら百時間を超えるそうです。初プレイの方はもうぶっちゃけ声をオフにして行くと良いと思います。テキストだけでも十二分に読ませる方です。むしろ、声というキャラを構成する上で重要なイメージが固まってしまう前にテキストだけで読んでみたらいいと思います。
彼の、彼女の、彼らの心にがつんと届く言葉や思いは、テキストを通して自分の中で想像する声に変換され、自分の中の響きで創造されます。つか、わたし跡部様アーチャーの台詞があんな風に言われてて自分の中の声とか響きとか言い方とかニュアンスとかあそこまで違うのかと新鮮に驚かされました。セイバーもやっぱり、声で聞くより自分の中に響いた彼女の最後の声が忘れられない。音にない、言葉に宿るマジックです。
全クリアのち声を聞くと新鮮な驚きで二倍お得かもしれない。本当にびっくりした。声優さんとはすばらしい。でも桜の声が微妙にねらいすぎだとおも…(ちょっとまってあのシーンとかあのシーンとか全部声入り!?うわああああああ←絶賛妄想中。だ、だめだがくがくしてきた)
あ、もちろん最初からおいらは声ありでいくぜと言う漢気のある方もいいとおもいます。きっとびっくりしますよ。だってあの人のこえ薔薇様なんだものつかなんでそんなところにいるの薔薇様…!!

次。
先にも述べたように徹底的にネタバレを排除することをおすすめします。アニメ、漫画なんて全ルートのネタがバラバラある気配満々です。というか、すでにセイバールートネタばらしじゃないかアレ(仕方ないって解っているのですが、ですが、ゲームで受けた衝撃は今もなお色あせず!)
あーでもようやく声を大にしておすすめと叫べます。万歳。
Fateは男の子や女の子や男の人や女の人がやたら格好良かったり可愛かったりきゅんきゅんしたりぎゅーっとしたりやたらめったら切なかったり愛しかったりする素敵な、伝奇ノベルゲームです。むしろPC版をおすすめしたかったがぶっちゃけえろげー(ぶっちゃけすぎだ)。移植に再しスタッフさんが批判覚悟で何とかしてくれるだろうと思われるのでようやくどうどうとおすすめ。でもどうせ追加してくれるならイリヤルートが欲しかった、問題なくなったじゃないかー(ほろり)

それにしても女性比率が今年は高かったFate in 夏の祭典。あのバッグを掲げている可愛い女の子達が何人いたことか。あのバッグをがしっとつかんで私も欲しいと叫びたかった。キャラマテ、ほし、い…(ばたり)





間桐家は広い。学校の体育館と隣接するプールを合わせたくらいに広い。居住空間、庭、敷地面積にしておよそ五十坪。もはや豪邸と言っていいこの洋館には、面積に反比例して住人が少ない。
まず家主である祖父、そして兄妹が一人ずつの計三人。たった三人で使うには広すぎるこの屋敷をハウスキーパーを雇ってまで全部維持するのには無為にもほどがある。なぜならこの屋敷には徹底的に来客が居ないからである。故に屋敷の目的は主に住人の私室、家主の蔵書の保管、衣食住の生理的現象を行う最低限の生活空間。豪奢だが薄暗いリビングは定期的に清掃なされているものの、此処で語らう住人はおよそ皆無である。申し訳程度に一応客間を三室手入れし、他は放置。観音開きの玄関を開ければ吹き抜けの空間と二階に続く階段が見える。差し込む光は細く、重厚と言えば聞こえは良いが要はホーンテッドマンションのような雰囲気である。これが間桐邸の特徴と言えば特徴か。
桜はいつもこの重い重い観音開きの扉の左側をあけて玄関を出る。こつこつ、とつまさきを煉瓦の石畳に打ち付けてローファをきちんと履くと彼女は小さく、いってきますと唇だけでささやいて、門までてくてくと歩いていく。
むかしむかし、「おとうさま」が生きていた頃は見える程度にはそろっていた芝生は今はぼうぼうで、花壇は雑草が大いに茂って見る影もなく。
家の天窓から除ける位置に桜の古木が植えてある。もう幾年も花をつけることのない枝ばかりの桜だ。別にそれを寂しいとも哀しいとも思わないが、永遠に咲くことの無いだろう桜は桜に似ていてとても嫌いだ。
屋敷を出る道はかろうじて雑草の浸食はあるものの生き残っている。煉瓦で舗装された門までの道をてくてく歩く。ものの数分のことだが、道路に出るまで数分かけて玄関から門を出なくてはいけない家というのも珍しいのではないだろうか。
この辺りは歴史的に古い建築物が多く、敷地がやたらと広いから自然こういった家が多い分桜にとっては物珍しくはない。
最後の煉瓦を踏んで、もう一度、唇だけで、「いってきます」と呪文を唱えた。


いってきますに対応するのは古今東西お帰りなさい。
でも、行ってきますっていったままで、桜はお帰りなさいと二度と言ってもらえなくなった。
坂道を上る人影が遠くから見える。距離にしておよそ百メートルと五十。それでも解る。名前の通りに凜として風をきって髪を靡かせうつくしくあるくひとを一日たりとて忘れたことはない。異人館と人から呼ばれる排他的な雰囲気を醸し出す洋館の前にたたずんで桜はその人をじっと見ていた。
この排他的な雰囲気は間桐の家ととても似ている。魔術師の不可侵性と守秘義務によるものだ。不可侵性とは幾大、幾年、幾星霜を積み重ねた魔術の神秘を外部から遠ざけ守護すると同時に己の文字通り命をかけた研究を盗まれまいとする魔術師の本能的な原理である。さらにこれを一般人に識られてはならない。一つに純粋に危険だから、二つに凡人に御しきれる力ではないから、三つにただ単純に厭だからだ。連綿と綿密に、受け継がれてきた魔術師の血をなぜ何の縁もない輩に空かさねばならないのか。故に魔術協会は魔術師に守秘義務を課し、これを違反するものは粛正を受ける。守秘義務の違反とは公共に魔術の神秘が漏れることである。粛正を受けぬためには、魔術師はそれ相応の手段を行使せねばならない。たとえば神秘を知った一般人へのいわゆる「口封じ」がそれである。
桜は一般人だ。少なくとも一般人と言うことになっている。だからこの異人館の前にいてはいけない。魔術師に疑われる。遠坂の魔術師に反旗を翻してこの地では生きていけない。黒い髪が優しく靡いていた。利口な猫のような目が風にすがめられ、そのまつげの影すら繊細だ。なのに存在が酷く鮮やか。靡く髪を目からよけようとしてその人がこちらを見た。
真っ黒の瞳にただあこがれた。
真っ黒の瞳をただただ、畏れた。
もうあの黒を桜は持っていなかった。髪も瞳も生まれ持った血を分けた姉と同じ色をしていたのに、桜は壊されて引き裂かれていびつな形のまま積み重ねて歪なまま作り上げられてしまっていた。歪な形のまま。
「あ」
風に目を閉ざしていた黒瞳を開いて、声の方を彼女が見つめた。黒いリボンが柔らかく猫の耳のように揺れていた。細い指にからみつくふんわり靡く長い髪。
「       」

そのとき姉が何を言ったか、何も言わなかったか、笑ったかどうかすら桜は知らない。正確には一生その事象が起こることはない。桜は見ているだけだった。ずっと遠くから見ているだけ立ったから知らない。
桜はもういってきますを言って、言ったままでしか永遠にないからだからもう。父によその子になるんだと言われたときから、桜の行ってきますは宙ぶらりんのまま返事が永遠に返ってこないのだ。
なんて不毛な妄想をしているのだろうとぼんやりと間桐の家の前で思う。
あの家に行ったら彼女は笑ってくれるだろうか。笑いをこらえたしかめ面で、何で此処にいるのよと言うかもしれない。桜、とあの優しい柔らかな響きで言ってくれるかもしれない。
それとも無表情のまま、ちらと視線を向けただけでもはや一別もせず、一顧だにせず、「家」の門をくぐり、桜の見ている前で鍵を開けて玄関を開いて入っていって、締めて、鍵をおろすかもしれない。
それがずっと怖かった。怖くて怖くて仕方がなかった。例え妹と言われずとも良い。でもせめてあの人の視界にいたい。いつも祈っていた、憧れていた、だから。
憎んでいたから、だから。

今日も間桐の門前で、行ってきますの呪文を唱える。咲かない桜、ひび割れた天窓、これが私の家。帰る場所(らしい)。行ってきますの呪文は呪いが篭められている。間桐の家に行ってもお帰りなさいが永遠に還ってこない呪いがかかっている。父と定義する人は二人とももう居ないし、桜に声をかける住人は巻き里程に存在しないから。
それでも桜は口にする。
行ってきますの呪文には呪いが篭められている。鮮烈な赤と美しい黒を持つ凜としたあのひとが優しい笑顔でお帰りなさいと言ってくれるおまじないをいつも心に持っている。
だから今日も、行ってきますと桜は言う。


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プロフィール

ゆつき

Author:ゆつき
日々徒然。
何とか生き延びている。
うっかり突発小話ありけり。
何が出てくるか解らない。
おそらく切羽詰った精神状態で出てくる故注意が必要。


おねがいごと。
小話の続きは、コメントのほうに私が書き込んでいますので、小話への直接コメントはご遠慮くださいませ。

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