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優しい世界と祈りの切実さについて

しっていたの。ずっとまえから。


でも、甘えた現状を貴方が慈しめるように、そして自分を愛せるように。ただ、切実に痛切に祈り続けた。理想を掲げた現状に甘んじる死にたがり。それが恐ろしく己を規範するあなたの。
……あなたの。
自分で気が付いているのに気が付かない振りをして、内面に触れられないように、入り込まれないように距離を測って、暴かれないようにひたすらに隠す。
でも祈ること、諦めきれなかった、世界はたぶん、あなたが規範するほど厳しくないと。あにもいもうともとても優しい、何があろうとあなたを受け入れると。わたしもあなたが大好きだということ。知っていて気が付いていて、なのに距離を作るのは自分が許せないから。気付いてほしかったの。あなたがあなたを少しでも赦せて、大切にしても、世界はあなたに背を向けないのだということ。


新しいエントリーをつくった方が見やすいかなと。下記小話と同じく続きはコメントのなかに。

コメント

昔日本と呼ばれた国があった。今現在は大帝国ブリタニアの直轄地となり、イレブンと呼ばれる一地域である。
終戦を向かえた日、日本人は領土を、国籍を、三権を剥奪された。終戦の日から、この日は国恥記念となった。


夏の猛暑の続く日々、彼女は厳戒体制の敷かれた中で公務を行っていた。
すみれの瞳が形式的に書類をすべり、姉に奏上される公式文書だと確認してからサインをする万年筆を滑らせた。
自分では正しいと思う。けれど自分だけの判断ではまだ怖い。
コーネリアの流麗なサインとの連名の証書に一番安堵を覚えるのは臣下や民より、きっとユーフェミア自身である。姉に間違いはないから。
「……ならなんで」
私はここにいるのかしら。
口をついてでそうな呟きを寸前でとどめる。姫様?と長年世話になってきた女官になんでもないのと首を降る。柔らかな髪がこぼれ落ち手のこうを擽った。
「そろそろ午後の御公務のお時間です、おめしかえ致しますか?」
気遣う視線に心が緩む。お人形につかえるなどと、陰口を一蹴した潔い彼女に気遣われ、申し訳ないながらもありがたくて仕方がなかった。
「はい、お願い出来ますか?」
ころんと万年筆をデスクに置いてユーフェミアが微笑むと、それに安堵したのか古参の女官は無礼でない程度に主に微笑み返した。
「今日の御公務は戦災孤児の慰問、十五時からは記念式典への参加とか」
「ええ、慰問には前にもいったことがあるのだけれど」
元気一杯だったこどもたち。思い出して頬を緩めた。手作りの似顔絵や育てた花をくれた、素朴な歓迎を豪奢な社交界の何よりも美しく感じた。
「ただ、スザクさまは少し遅れてしまうとか」
期末試験ですって、ところころ笑ってへろへろだったスザクには何かお疲れ様のご褒美を用意しようと決めてみる。久しぶりにお菓子でもつくってみようか。
「先の慰問と同じようにスザクさまと御一緒できればよろしかったですね」
こどもたちは人種も民族も関係なく、ただひとをしたう愛しさを持っている。ひとはその無垢をいつ、どこに置き去りにしてしまうのだろうか。
「……せめないであげてね。これはわたしの我が儘なのですから」
騎士不在の皇族の行幸など非常識にもほどがある。しかし、軍務と学校を願ったのはユーフェミアだから。幸せそうに微笑む主に、女官はにこりと満足そうに微笑むと、上品に一礼して折り目正しく退出した。
一人残されたユーフェミアは窓の外の空を見上げる。格子は繊細な装飾が施されていたが、どこか鳥籠めいていた。美しい小鳥を捕える美しい鳥籠。手元に散らばる、兄と姉に奏上される公式文書。
「……それでも私にも出来ることがあるのだから」
叩き込んだ午後からのスケジュールを頭の中でさらいなおす。これはユーフェミア皇女にしか出来ぬこと。……本当に?兄も姉も他に経験をつんだ要職に就く官僚も他の皇族のきょうだい達に至っては吐いて捨てるほど、いるというのに。

小さな呟きは己にいい聞かせる響きをもって、静かな部屋に沈んでいった。

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プロフィール

ゆつき

Author:ゆつき
日々徒然。
何とか生き延びている。
うっかり突発小話ありけり。
何が出てくるか解らない。
おそらく切羽詰った精神状態で出てくる故注意が必要。


おねがいごと。
小話の続きは、コメントのほうに私が書き込んでいますので、小話への直接コメントはご遠慮くださいませ。

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