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ゼノギアス@若マル(になるはずだ)

ゼノギアス十周年だそうです。
主人公が緑川さんだったことを思い出してびっくりしたり、
でもファティマの彼らにばっかり胸がときめいたり。
(ほんと大好き)
(長くなりすぎて一度切ってみたり)(終わってなくてすみませ…)
(すざゆふぃも間に合わなかったですよ!)(うおおぉぉん)
(読んでくれてありがとうございました…ほんとなけてきますよね!)
アグネスがニサン法王府に帰依したのは、先のキスレブとの交戦により夫と子どもを亡くしてからだ。数年を見習いとして過ごした後洗礼を受けてシスターとなった。最初配属されたのは、家族を亡くしてから転がり込んだ教会だった。尼にしてくれと、手を取り合う天使像の前で崩れ落ち涙が枯れるまで泣き続けた。
その教会に偶然視察で訪れていた大教母に、言葉を賜ったことをアグネスは片時も忘れたことがない。
まだ家族という俗世を棄てきれぬほど愛しているなら、ここに踏みとどまるのはおよしなさい。出家とは生きながらにして家族の縁ごと俗世を棄てること。その深い嘆きこそ、深い愛情のあかしならば、家族の縁ごとその愛を抱きしめていなさい。私たちはいつだってあなたの姉妹なのですから。いつだってあなたの嘆きに新しい家族として耳を傾けるのですから。
ニサン聖教は司祭の許可があれば聖職者でも伴侶を得ることが出来るが、世俗に背を向けるという本質は変わるはずもない。清貧、貞潔、従順の誓いを立てて慎ましやかにひっそりと生きていくのに、家族と過ごしたきらめく太陽のような賑やかさとは、実際体験してみて遠く隔たったものであり、あの時頂いた言葉は正鵠を射ていたのだとアグネスは後に深く納得したものだ。それでもアグネスが聖職に身を置くことを選んだ理由は、家族の菩提を弔って終生を過ごしたいと願ったことと、姉妹として、母として、彼女の哀しみを受け止めてくれた大教母の一助になりたかったことの二つ。
身を慎み、信教に身を捧げる誠実な面が評価されて法王府へ推薦が決まったのはまた数年を経た頃だった。大聖堂付きのシスター達に多めの欠員が出たため、その補充と言うことだった。
その頃はニサンと縁深い国であるアヴェの世情が不安定で、『教会』の勢力がキスレブを中心に世界各国に普及し始めていた。経験のあるものは国外のニサン聖教の各施設に散っていき、総本山との連携をいっそう強めるために誰もが身を粉にしていた。
人手が足りない頃だったから、身元がはっきりしていたと言う理由から、まだ駆け出しのシスターであるアグネスが抜擢されたのだろう。
自分がこれから勤めを行うところが、姉妹だと言ってくれたニサンの母だと聞いて、アグネスは本当に驚いた。しかし、彼女の驚きはそれだけでは留まらない。ニサンの母が彼女に託したのは、彼女の娘の庇護であった。
大教母エルヴィラがファティマの名を継ぐ女児を授かったその日より数年、アグネスは小さな命をいとおしみ、いつくしみながら育んだ。
生まれる前はお腹の子どもの性別をとやかく言うものも多く、エルヴィラに心労がかかるのではないかとはらはらとし通しだったことを思えば比べ物にならないほど穏やかな日々だった。
ニサン法王府に君臨する大教母は世襲制で、代々アヴェ王家に連なるファティマ家から女児が選出される。大教母が産む子供が女児でなかった場合は、アヴェ王家の親王や王姉、王妹、国王の従姉妹などファティマ姓が許される、非常に近い血族が大教母として砂漠の国からニサン入りするのだ。しかし、今代の国王には姉妹が居らず、親戚にも恵まれていない。先年に産まれた子供はまだ一人きりで、しかも男児。アヴェは無事に継嗣を得たことになるが、ニサンの継嗣は空白のままであったから、周囲のやっかみようは仕方ないとはいえ目に余るものがあった。エルヴィラ自身は何を言っても産まれるときは産まれるのだから気にしても仕方がないと鷹揚に構えていたが、出産を控えた身二つの大事な時期に考えのない人々のなんと多いことよと、エルヴィラ付きのシスター達のほうがかりかりしていたものだ。
この時期に祈ることと言えば、男の子であっても女の子であっても、母子が無事に産まれるように、これに限った。毎朝毎晩の礼拝の中で賛美歌を歌い黙祷する中で、一心に願っていたのはこれだけだった。
様々な思惑の末、生まれてきた子は周知の通り女児であった。周囲の思惑など一顧だにせず、すくすくと育ち、母エルヴィラや、彼女の世話をするシスター達、ニサンの天使を信じる人々の愛情を一心に受けて、ニサンの宝は良く笑う、元気で優しい少女に育った。大教母の地位を継げる女児であったため、彼女は文字通りニサンの宝玉になったわけだが、性別など関係なく、エルヴィラにとってはその子どもは宝物だっただろう。それだけ彼女は子どもを愛して育てていた。アグネスにとっても、亡くした家族の面影を見るようで、一層愛さずにはいられなかった。
だがこの幸せも長くは続かなかった。シャーカーンによるアヴェの政変が起こったためだ。首都ブレイダブリクは陥落、国王は暗殺され、王妃は最後まで子ども達を護ったが失意と絶望の中で、虜囚の身のまま命を落とした。国王暗殺時に傍にいたエルヴィラの夫も殺害された。更に最悪なことに、ニサンの宝である二人の子ども達が政敵の手に落ちたまま、救出が失敗したことにある。
一人はアヴェ国王の第一王子であるバルトロメイ・ファティマ。代々、ニサン聖教と縁深いアヴェは、信教と国土と国民を相互扶助で護ってきた。ニサン聖教が慈悲深い母なら、砂漠に君臨する古国アヴェはニサンの守護者である。経済的にも、軍事的にも、非常に深い関わりがあり、二国間の国主が婚姻を結ぶことも珍しくない。ニサンの民が敬愛し信仰する大教母に唯一並びうる存在が、アヴェの国主である。ニサンの継嗣が産まれる数年前にアヴェの国王に産まれた小さな王子は、ニサンの民にとっても愛すべき宝であったのだ。
そのアヴェの国王が亡くなり、政権は奪われ、継嗣は政敵に陥ちた。ニサンの嘆きは並々ではない。しかし、それ以上に彼らを動揺させ、悲嘆させたのはもう一つのかれらの宝玉が、やはり同じ敵の手に落ちたからである。
マルグレーテ・ファティマは父に連れられ、アヴェを訪れていた。年の近い従兄が大好きなマルーは出発前から嬉しがって、なかなか寝付かれない様子であった。行ってきますと言って、駆けていった様子がたった今手を離れたように鮮明に思い出せるのに、どうしてこんな事に。
哀しむ間もなく、対応に追われてニサン法王府は動き始めていた。あの恥知らずは、自分が握ったアヴェとニサンの宝を切り札に、厚顔無恥にも大教母に交渉を求めてくるはずだ。どうすればいいのか、動揺と悲嘆に満ちた大聖堂の中で、たった一人毅然を失わなかった人が居た。蒼白になりながらも、ファティマブルーの瞳をなお一層青く染め、強くきらめく瞳で彼女は凜と立っていた。――思えば、あの時からもうすでに、結末を決めていらしたのだろうとアグネスは思う。
ニサンの利権は渡せない。しかし子どもの命はもっと渡せない。しかし、それ以上にエルヴィラには渡せないものがあった。ニサンでもなく、アヴェでもなく、ファティマの名に連なる秘宝だった。彼女はこの、ファティマの秘宝がどのようなものであったかは一切口に出さないまま、シャーカーンとの交渉の席に望んだ。どのようなやりとりがあったのかは解らない。しかし、交渉は決裂し、二人の子どもの身柄はアヴェ国内に事実上拘留となった。このままでは軍事的な介入もあり得ると、一触即発の自体に国中が緊張に沸き返ったが、交渉決裂の数時間後、そのある種の熱狂を冷やす血の雨が降りそそいだ。
ニサン聖教は渡せない、しかしそれ以上に私の子ども達と我らの至宝は何があっても渡すわけにはいかない。
直接シャーカーンにホットラインを繋がせて、言い捨てたあと、政敵と部下の目の前で彼女は自分の命を絶った。
ファティマの至宝の名が示すとおり、ファティマの血に連なる者だけが知るこの至宝。――アヴェ国主夫妻だけではなく大教母をも亡くした世界には、ファティマの血を継ぐのは年端もいかない小さな、二人の子ども達だけであった。



ニサンの母とその夫を失った法王府には最早ファティマの血縁は居らず、表向きはアヴェ国首脳と歩み寄りを見せる必要は無しという姿勢を貫いた。国民感情としても、国交の回復など以ての外とする意見が大半を占めるのが当然であった。
しかし、ニサン聖教の正式な継嗣は、未だ虜のままであるマルグレーテただ一人であり、その事実がアヴェを完全に無視することは許さない。
ファティマの秘宝の存在のために囚われているのは、首脳陣の間では周知の事実であったが、もとが隠蔽された秘伝であるために、公に追求することも出来ない。また、マルグレーテは友好国に滞在しているという事になっていたから身柄を寄越せと強行するのも難しい。エルヴィラが亡くなったことでニサンはファティマと血縁関係を失ったからだ。アヴェはマルグレーテの血縁のよすがとなった国である。生きているか死んでいるかも情報が錯誤する中だったが、唯一の血縁であるバルトロメイ王子がアヴェにいるならば、未だ幼年であるマルグレーテの身柄はニサンよりアヴェに置かれても何らおかしくなかった。
時にはマルグレーテの生存さえ危ぶむような情報が錯綜していて、アグネスは生きた心地もしなかった。残されたファティマの子ども達は、至宝への唯一の手がかりとして生き残されているはずだと願う以外に方法がない。
自ら命を絶つことで、国と、至宝と、幼い子どもたちをエルヴィラは護ったのだ。
その献身が無駄になるようなことがあったら、その時こそこの命を天に返して、自分もあの方達の元へいこうと少なくはない者達が決意していた。
そんな矢先だ。
あの小さな子どもが、ぼろぼろになりながらも生きて帰ってきてくれたのは。




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プロフィール

ゆつき

Author:ゆつき
日々徒然。
何とか生き延びている。
うっかり突発小話ありけり。
何が出てくるか解らない。
おそらく切羽詰った精神状態で出てくる故注意が必要。


おねがいごと。
小話の続きは、コメントのほうに私が書き込んでいますので、小話への直接コメントはご遠慮くださいませ。

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