記事一覧

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

無理だ。

下のゼノギアス続きです。気が向くままに書き連ねています。
しかし携帯からはそろそろ無理があるように思えてきました。(どうしたものか…)
ほかと平行して書いていると後悔します。
騎士姫がトラウマになりました…(軽く全消しの憂き目にあって後悔しました)


首都ブレイダブリク及びアヴェの政権奪還を密約した盟友達が、玉座を継ぐ子ども達を奪い返してきたのは酷い雨の日だった。エドバルド王の息子、バルトロメイの薨去が正式に発表されたからである。生前のアヴェ王妃が逝去されたと同時期に病死したというクーデター政府の発表にアヴェ国民はもとより、ニサンの民も激怒した。シャーカーンは国民および国外への動揺と影響を考慮し、発表の時期を送らせたと公表しているが、その王子の両親や命を奪ったのは、白々しく王子の死を悲しんで見せながら発表した王冠泥棒本人である。
まだ王子がいるのだから、ファティマによる政権奪回を諦めてはならないと国内で潜伏し、反政府活動を続けている人々を挑発するのに、これ以上のものはなかった。自爆覚悟でテロ活動をと言う声すら高くなり、緊迫した状況が続く中、これを煽動する者があらわれた。
活動の初期にまずニサンと渡りを付け、法王府を内々に味方に付けた、後のバルトロメイ王子の補佐として名高いシグルド・ハーコートとメイソン卿である。彼らを中心として旧王朝勢力の復権を望むレジスタンスが団結し、スコールの砂漠を強行突破したのである。彼らの目標はアヴェの継嗣バルトロメイ王子とニサンの娘マルグレーテの奪還。シャーカーンが王子の死を発表したからには、本当に死んでいるか、死んでいなくとも生かしておく気が無くなったからに他ならない。人質はマルグレーテ一人で十分と判断されたのだ。
二人が敵の懐深くにある以上、どんな戦力を持っていてもシャーカーンを打倒することは難しい。どちらか一人だけ、という選択肢は端から存在しなかった。
彼らは王子と大教母の娘と、戦艦一隻を略奪しそのまま行方をくらました。
世界中に修道士や修道女のあるニサン聖教のパイプを使っても行方を把握し切れないほど、その足跡を忽然と消したのである。
アヴェからの捜索の手は、もちろんニサンにまで伸びた。ニサン周辺の捜索が一番厳しかったとも言える。世界中が注目する、大国の政権の天秤を傾けうる正当なアヴェの継承権を持つ王子と、宗教国家の元首の娘である。彼ら二人をかくまえる影響力も、アヴェ政府と敵対してでも救い出そうとする理由も、ニサン以上に持つ国家的勢力は存在しないのだ。しかし砂漠の海へ消えた二人の子ども達の足取りはいっこうに、誰にもつかめなかった。
シグルドは少なくとも一ヶ月以上は自分たちだけで逃げ回り、ニサンには近寄らず、またこのことはニサン法王府との事前密約の通りであり、ニサンに逃げると踏んだシャーカーンは尊大に、頑なに沈黙を守る法王府をぎりぎりとにらみつける以上のことは出来なかった。
あるいは王子誘拐を捏造すれば回戦に踏み切るも可能であったが、当の王子の死を発表したのはアヴェ本国であり、マルグレーテに関してはニサンに引き取られ、留め置かれてもなんら問題はないのである。
満月を六回数えた頃ようやく緊張状態も麻痺して来た頃。アグネスは実に久方ぶりとなる幼子を出迎えた。
日に焼けたやんちゃざかりの小さな小さな女の子は、アグネスの手を離れた頃とほとんど変わりがないように思えた。しかし離れていたほんの少しの間に、過酷な変化が確実に彼女を削っていた。髪の毛が短くなり、病的に白い肌をして、大きな瞳におびえの色を一杯にのせた、やせっぽっちの子ども。砂漠の暮らしでずっと戦艦内に留められて、もしくは砂漠に配備されているアヴェの兵士も警戒して、太陽の光を浴びることがなかったのだろう。戦艦内に住まざるを得ない、逃亡の身の上でお腹いっぱい食べられることもなかっただろう。けれど何よりアグネスが嘆いたのは、名高いファティマブルーのきらきらとしたあおい光が哀しみの色に染め抜かれていたことだった。マルグレーテは従兄の側を離れず、またバルトロメイもマルグレーテの傍を決して離れようとしなかった。ぴたりと寄り添った二人は、端から見ればきちんと受け答えをして利発な様子だが、味方中でも無意識に大人達を警戒していて、本当の意味で信頼が置けるのは実はお互いだけだったのかもしれない。
生来の闊達な鷹揚さを見せて、バルトロメイもマルグレーテもはこの後に非常にすくすくと活発に育ったが、彼らの心の中にすり込まれたトラウマは消えることは一生無いのだろう。
最初ニサンに戻ってきた時は、とまどいが先立って、ここがどこだかも良くわかっていない様子だった。離れた当時が五歳を数えた頃だと思えば当然のことだ。あまりのいたわしさに涙がにじみそうになったとき、マルグレーテの瞳がアグネスを捉えた。はっと息を呑み込んだあと、ぴったりとよりそって掴んでいた従兄の上着の裾から手を離して、転げるようにアグネスの腕の中に駆け込んできて、腕の中でわんわんと泣いた。
従兄と悪戯をすることもあった。些細な我が儘を言ってシスターを困らせることもあった。けれど、こんな風に泣いてアグネスを困らせたことなど、一度としてなかった。ママが、マルーのせいでママが、とマルーは言った。
この子どもはこの幼さで、自分の母がどうなったかも、その理由も、きちんと理解しているのだ。呆然と小さな、しかし余りにも軽い重みを抱き留めて、アグネスは愕然とした。
そのようなことありません。あなた様の、マルー様の何が悪いと仰るんです。よく、よくぞご無事で戻られました。大教母様はそれだけでご満足でいらっしゃいましょう。
泣きやまない小さな背中を撫でながら、強く強く抱きしめた。あまりの惨さに心の中が真っ暗に塗りつぶされたような気がしていた。
その日から小さなマルーはマルグレーテの中で封印され、プライベートの一人称は「ぼく」に変わった。弱さを自分に許さない少女の悲しい決意であることにほんの数人だけが気づいていた。

コメント

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

ゆつき

Author:ゆつき
日々徒然。
何とか生き延びている。
うっかり突発小話ありけり。
何が出てくるか解らない。
おそらく切羽詰った精神状態で出てくる故注意が必要。


おねがいごと。
小話の続きは、コメントのほうに私が書き込んでいますので、小話への直接コメントはご遠慮くださいませ。

最近のトラックバック

月別アーカイブ

ブロとも申請フォーム

フラッシュ クロック 「傀儡人間」

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。