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たぶんギアス@小話。君の背中には羽がある。

原稿が進みませぬ。一文たりとて進みませぬ、最終回の破壊力は恐ろしいものがあり申した。しかし現実逃避のねたには事欠かない己を疎んじてもみるのでありまする。……なんか変な文章を書いたら言葉使いが戻りません、色々追いつめられた頭はおかしいのがつねです。誤字はデフォルト、頭の中で補完お願いします。(言い切った…)あほと言われれば正直本望です。
アルシェリ校正とか無しで出したら怒られますか(また無茶を)
随分ブログを殺風景にしました。月別アーカイブやサーチ機能は一番下ですよ。目が痛い…もう壁紙とかは明日だ、いつか暇になったらだ…!

以下ギアス小話、最終回ネタバレご注意です。
どうしたの?

彼女は言った。
何の言葉かはようよう聞き取れなかったが、彼女はひたすら二何かを心配しているようであった。何を心配して折るのか自分にはさったりと解らぬ。ただ彼女の差しい伸べたる手の白さがこの目に焼き付いて離れることをしない。私ははたりとなみだをこぼして、その手の白さに無我夢中で縋り付いた。
私の中は虚無であった。それは他の誰にも推察できぬような虚無であった。なぜこうなったかいつから濃うなたかは特に解ることではない。振り返ろうにも心の中は虚無なので、何処をどう見れば虚無から判然とした昔が浮き彫りされるのかその道理が無いではないか。
彼女は縋られた手にはっとして、思わず手を引きかけた。その手はそのまま離されるのであろうと私は思っていた。しかし彼女はいったんは引きかけた手をそのままぐっと踏ん張って留まると、醜いまでの力で握り粒さんとするように縋り付く己の手にそっともう一つの柔らかな手のひらを被せてほっこりと微笑んだのである。私はその笑みが何を示しているのかいまいち良く解らなかった。何しろ自分は虚無である。虚無には自分を判断する基準がないから、他の人間などを判断する基準もない。
ただただましろい手のひらが柔らかかかったこととまるで私を安心させ得るかのように寄り添って暖かな毛並みを撫でてくれたことはよくよく、覚えておる。
所で、申し遅れたが吾輩は猫である。名前はなかった。今はある。
我が輩などとかしこまってみたものの特にかしこまる理由もなく、滑稽であるので我が輩という言葉は私という言葉に直させてもらう心積もりである。しかし所々格好もつけてみたくもなるものであるのでその辺りは各々ご了承いただきたい。
さて、我が輩は名は無かった。生まれてこの方孤高の一匹。そのような生ぬるい道を生きてきたつもりはとうていない。
雨の日も風の日も夏の暑さにも冬の寒さにも負けず丈夫な身体をもち……しかし夏の暑さも冬の熱さもどうにかならないものか。わたしのこの立派な毛並みが夏の暑さにいかに弱いかなど諸君等にも解っていただけると思うのだが、しかし夏は暑い。さりとて冬には役立つかと言えばそうでもない。この毛皮は良いとしてもむき出しの肉球で路上を歩く冷たさと言ったら、無慈悲な高利貸しでも涙する辛さである。その上雪などと言う者が降ってみよ。私の自慢の毛皮は濡れて凍り付いてしまうし鼻の先もしもやけになってしまいそうである。その上脳天気な犬が買い主に尻尾を振ってやれかまってくれと雪の庭をはしゃいでまわるものだから我々猫にとっては大変由々しき事態である。
いや、なに、犬が恐ろしいなどと情けのないことを言う様な私ではない。何しろ私の名には何をも恐れぬ素晴らしい名が付いておるのであるからして私が犬ごときに後れを取ったりおそれを感じたりするわけにはまいらないのであることはみなにもご承知置きのことかと思われる。
わが輩の名はアーサー。円卓の十二の騎士を総べる比類無き王の中の王である。このしなやかな尻尾の辺りがどれほど威厳に充ち満ちているか解らぬ人間は居なかろう。私に名付けをした彼女もそのところを重々承知の上でつけたに違いない。感心なことである。
さて、このような立派な名に恥じぬよう私は日々精進しているのである。まずは我が輩の臣下でもあるランスロットに騎乗する枢木スザクという者のしつけから我が輩の一日は始まる。この男は何ともけしからん。私の名を一番に知る権利を得たというのに臣下の身をわきまえもせず私を猫じゃらしでじゃれさせようとしてくるものだ。何という不敬、何という侮辱。その軟弱かつ不道徳極まりない未熟者に私は日々折檻を与えその不道徳を糾し続けて幾星霜。奴の不道徳は直るどころか性も懲りなく毎日毎日毎日毎日ジャーキーに煮干しに猫感に貢ぎ物を片手に我が輩の元へやってくる。いい加減うざったい。そろそろ私の目下であるという自覚を持って立派な臣下として仕えるべきであるというのに、これも私の教育が至らないと言うことであろうか。面目の次第もない。
しかしこの男、私と同じように虚無を抱いた人間であったと言うことは間違いがないのである。螺旋のように歪んだ生き方しか出来ぬ哀しい、歪な人間であった。それを強引に戻そうとしたのが我が名付けの主である輝かしい姫である。かの聖なる騎士を傾国と背信へと走らせたグネヴィアの美しさもかくやという、身も心も清らかな姫である。故に私が彼女に膝にのってごろごろと鳴くことを許すのは当然至極な現実であると皆には良く心得ておいて貰いたい。彼女は心優しかったがある一点において不幸であったことは言うまでもない。姫が姫であるという事実である。それ故に彼女は愛している兄妹と生き別れとなってしまった。私はその兄妹が生きていることをよく知っており、姫の代わりになろうとて健気な心を懐きその兄妹の元に滞在することを自分に許している。猫は猫なりに世知辛いことをよくよく考えているのだと言うことを人間諸君もお解り頂きたい。
この兄妹、妹の方は哀しくも心身共に傷ついて今はゆっくりと身体をいやしながら穏やかな日々を過ごしている。柔らかな膝はかの姫に通ずるものがあり、やはり妹姫の膝も素晴らしい者があり我が輩の午後は暫しここでの昼寝という嗜好に費やされる。さて、もう独りの兄が問題だ。兄は一人をのぞいて誰にも言えない深刻な偽りを抱えている。それは我が輩が今抱えている虚無にも似た何かであったのだろう。その虚無の先にある現実がネロも斯くやと言う暴帝を生み出すことになるなどとは当時の私は考えもしなかったわけである。
おお、肉球がしんしんと冷えてきた。むき出しの土は掘り返されたばかりで柔らかいというのにこの毛並みに潜む冷たさと虚無の何と無慈悲な事よ。
彼女はそんな私の冷たさを共に感じて折るのであろう、我が輩がすり寄ったまま小さく愛らしい肉球で彼女の服の裾と手を離さないことを教授してくれておる。何と心美しき姫か。
さもあらん。
このような希有な姫は二度とあの男の前には現れぬ。なればこそあの男は今我が輩の抱える虚無と同じかそれよりも深い虚無を抱えるに至ってしもうた。止めることなどもはや不可能であり週末へと突き進む背信の騎士をもしも踏みとどまらせられるものが居たとしたら、それは今私の頭をこうして撫でてくれる心優しき姫、それ以外に誰一人としていなかったであろう。
いっとき、彼女は私の前から姿を消したが、その後は背中の羽を羽ばたかせ、私によくよく会いに来てくれたものだ。しかし残念なことに人間には彼女の声を聞くことも、姿を見ることも出来ぬ。
暗いくらい真夜中、小さな箱の中から取り出したるはこの姫の騎士の証であり、たった一つの誠実の形見。あの男はじっとそれを見ては声も出さずに慟哭に震えておった。私はそれをベッドの上からじいと見つめておることしかできなんだ。このにゃあというか弱い泣き声すら今の男にとっては聞き届けられえぬものであることは私とてとても良く解っておったとも。
その男の虚無は留まるところを知らず傍らに姫が折ることにも気が付かず闇と憎しみと傷痕に邁進しておった。何と愚かしく悲愴な背中であったことか。その背中を見送って何度言葉もなく姫が泣いたことか。
そして我が輩は虚無に突き落とされたのである。
目の前にある墓石には男の名が刻まれており、姫は私の傍らに膝を落として身動きもせぬ。男が生きて折ることはとてもとても良く解って折る。しかし奴の名も、存在も、ここに埋めて、新たなペルソナをかぶり個人を殺した。我が輩の愛した者どもは誰一人として残ることなく散り散りとなった。男が青い剣と羽の紋章だけを形見に持って行ったことは解って折るが、それでも置いて行かれた私と姫はどうしたらよいのかとんと解らぬ。故の虚無はどうしようもなくわが心を染めるのである。
しかしこの四つ足しかないわたしとは違って姫の背中には羽がある。もう二度と人前で名を呼ばれることのない男の名を、誰にも声の聞かれ得ぬ姫なら呼ばうでもかまわないであろう。何度も何度も呼んでやるとよい。その十度、百度、千度に積み重なる可憐な声のただ一度に、男は振り返るかも知れぬ。ただ一度届く奇蹟もあるやも知れぬ。私はそれを願ってやまぬ。
さあ行くと良い。生まれも育ちも路傍のゴミ置き。献上された名が私の僥倖なればこそ、姫もその幸せを追うと言い。そこに男の幸せもあるだろう。
さあ今すぐこの冷たく空っぽの墓石から、飛び立つと良い。何しろ貴女の背中には羽があるのだから、これよりずっとさき何十年も男に寄り添い、最後に笑って迎えることくらい、短い生の我々猫と違って容易いことであるだろう。
彼女は最後に私の耳に接吻けをして、ふさふさの毛並みを触れ得ぬ手でそっとなでつけてからその背中の羽をましろにひろげ高く空へと飛び立った。
降り立つ先にはあの男が居ることであろう。では私は、彼女のもう一つの祈りの先にある妹姫のもとへと赴くとしよう。その柔らかな膝の上で昼寝の至福を味わうのである、皆にもお解り頂けるであろう、猫の幸福とはそれで十分。人の欲深さのなんと業の深きこと。己の幸せのみならず世界の幸せを願って愛しい人を打ち棄てるとは、何と愚かなことであろ。そこなる人間よ、努々忘れることなかれ。幸せとは午後の昼寝に勝るものはないのであると。



アーサーはもっと可愛い子だと思うんです。
猫と天使。君の背中には羽がある。

プロフィール

ゆつき

Author:ゆつき
日々徒然。
何とか生き延びている。
うっかり突発小話ありけり。
何が出てくるか解らない。
おそらく切羽詰った精神状態で出てくる故注意が必要。


おねがいごと。
小話の続きは、コメントのほうに私が書き込んでいますので、小話への直接コメントはご遠慮くださいませ。

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